2025年9月

「優しい心」

 私は幼い頃からプロレス大好き少年です。寺の本堂横の窓には、先日亡くなった外国人プロレスラー「ハルク・ホーガン」のフィギ ュアを置いている程です。

 

 彼が来日した頃は、昭和という時代もあり外国人への風当たりは強かったと思いますが、 「一番」と漢字で描かれたリングコスチュー ムを着て「イチバーン!」と叫んだりし、徐々に日本人に受け入れられていきました。仲間や観客に育ててもらったのですね。

 

 時代も移り変わり、現在は日本アニメのフ ァンが多く、アニメで学んだ日本語で流暢に 話される外国人が来日されたり、技術や学業習得を目的とした留学生や、母国へ仕送りを するために働いている人、就職目的で海外から日本に移住し生活している人も増えています。

 

 その一方で外国人だからこそ優遇されることを悪用するなど、社会を乱す出来事が増えているのも事実です。

 

 日本人も海外から来られる方も、それぞれの文化や環境など違いがあります。一方的にこちらの思いを押し付けたり判断するのではなく、しっかりと話を聞いていかなければいけません。理解し認めていくという優しさが必要なのです。

 

 私も歳はとりましたがプロレス大好き少年のままです。ただ今は「一番」は簡単に手に入るものではなく、また「一番」でなくてもそこに至るまでの努力は並大抵ではないということもわかります。どちらも称賛されるものです。

 

 ハルク・ホーガンが叫ぶ「イチバーン!」は、もしかしたら勝利の言葉でもあり、また対戦相手への思いが詰まっていたのかもしれませんね。

 

 あらゆるものは関わり合って存在し、単独で存在するものはない、と仏陀は説いておられます。仏教徒ならこのことを忘れず、優しい心を大切に暮らしていきましょう。

 

   海の内外(うちと)のへだてなく

   み仏(おや)の徳のとうとさを

   わが同胞(はらから)につたえつつ

   浄土(みくに)の旅をともにせん

             (真宗宗歌三番)

 


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